デイケアってホント楽だけどお金がかかる

デイケアってホント楽だけどお金がかかります

ベストタイムは七時半ごろです。そのために私たちの緊張は前夜からもうすでに始まっています。ころあいの時間に「便所!」といつて父が起きてくれると最高です。そのままダイエングの椅子に腰かけるように誘導します。歯みがき、食事、着替え、これらを順序よく進めていくためには、その前にしっかリスタンバイしておかなくてはいけません。私の起床時間もきっかり六時に設定します。

 

 

滞りなく一連の工程が進むと、今度はどこで父を待機させるかです。いろいろ試した結果、玄関の上がりかまちにすわらせておくことがベストのようです。そうなると玄関にどう誘導するかが私と姉の腕の見せどころです。幸い、デイケアのある水曜日と土曜日は燃えるゴミの収集日です。これを利用しない手はありません。ほとんどのゴミは事前に捨てておきますが、少しだけゴミを残して小さなビニールの袋に入れておき、「お父さん、ゴミ出してきてくれる」と声をかけると、「おぉ、そうかあ」と相槌を打って、すたこらと玄関に向かいます夫曽父がゴミの集積場から戻ってくるまでの間に、小さなお盆にお茶とタバコと灰皿をのせて上がりかまちに置いておきます。

 

 

ゴミ捨てから戻ってきた父をそこにすわらせ、タバコをすすめます。ゆっくり一服しているところに送迎の車が来てくれればしめたものです。父は機嫌よくデイケアに出かけてくれます。しかしいつもそううまくいくとは限りません。東京の道路事情は日替わりで、車の到着が遅れることもあります。そんなときは一服吸い終わってしまい、靴を脱ぎ捨てて部屋に上がってしまいます。そうなると職員のかたが父をいくら誘っても、「行かねえよ」といったっきり、父は押し黙ったままもうテコでも動きません。とにかく父を部屋に上げないのがコツで、姉と情報交換し、そのコツを共有化するようにしています。「トイレに行きたがったら庭で立ちションさせちゃうのよ」と姉はちょっと乱暴な手を使っているようです。

 

 

 

ここらへんの妻の誘導の仕方はあっぱれというしかありません。俳優が芝居を演じているようなもので、照れくさがったりするとだいなしです。自然に、しかも堂々としていなければなりません。義父もなかなか役者ですので、うまくいくときの二人のコンピネーションにはほればれしてしまいます。